昨年11月14・15の両日、恒例のシマおこし研修交流会が伊是名島にて開催されました
(沖縄県地域づくりネットワーク主催、しまんちゅビジネス協議会、NPO法人島の風共催)。
企画vol.2となる今回は、プログラム2日目の第二部パネルディスカッション
「地域でしまんちゅビジネスを起業するには?!」の中から、特に地域おこしの現場や、
地域おこしのポイント、また社会起業についてのお話を中心にまとめました。
※パネリスト・コーディネーターの取組みについては、本稿中で紹介されています。
シマおこし研修交流会概要========================================
1日目は伊是名島の古民家再生事業の現場視察をはじめ、古民家を活用したイベント、月夜コンサート「しまあかり」を体験し、
その後は砂浜の夜なべ談義で参加者同士の親交を深めました。2日目には、しまんちゅビジネス協議会企画の地域おこしや
ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスについて学ぶ、講演会とパネルディスカッションを行いました。
第一部講演会の講師に、株式会社大地を守る会取締役代表の藤田和芳氏を迎え、「それぞれの地域で社会起業!」
というテーマでお話いただきました(講演内容の詳細は、会員ページにてご紹介予定です)。
第二部パネルディスカッション「地域でしまんちゅビジネスを起業するには?!」というテーマで
藤田講師、大城保氏(沖縄国際大学経済学部長)、納戸義彦氏(NPO法人島の風代表)をパネリストにむかえ
沖地ネット副会長である小野寺明夫氏コーディネーターの進行のもと、各自の立場から地域おこしやソーシャルビジネスについて
意見を交えました。
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=本稿の内容=
1.パネリスト・コーディネーターの紹介
2.離島が直面している課題について
3.各地の地域おこしの事例
4.「幸せ度・幸福度」が価値基準のひとつに
5.社会的起業を始めるひとたちへ
1.パネリスト・コーディネーターの紹介
■講師・パネリスト 藤田和芳氏(株式会社大地を守る会代表)
出版社勤務を経て、1975年に有機農業普及のNGO「大地を守る会」設立に参画。1977年には、大地を守る会の流通部門として、社会的企業のさきがけとなる「株式会社大地」(現・株式会社大地を守る会)設立。有機農業運動をはじめ、食糧、環境、エネルギー、教育などの諸問題に対しても積極的な活動を展開している。韓国、タイ、インドネシア、中国、モンゴル、パレスチナ、ドイツ、スペインなどへも度々訪れ、アジアを中心に、世界各国の農民との連携を深めている。※詳細については会員ページコンテンツ講演内容とあわせてご紹介させていただく予定です。
■パネリスト 納戸義彦氏(NPO法人島の風代表)
私たちの取組みは、昨日午後にご案内した古民家再生事業など、今ある資源を活かしながら、新たな開発に頼らない持続的な観光を目指しつつ、島の人たちが大切にしてきたもの、古民家も含めそこにある文化とか風土とか考え方を大事にしながら次世代に伝えることで、ちっちゃなビジネスをつくろうという仕組みづくりです。はじまったばかりの取り組みですが、おかげさまで順調に継続して進んでいけるのでは、というところまでこぎつけてまいりました。もうひとつ、もっと大きな問題、僕らがもっと気をつけていかなければならないこと、第一次産業、農漁業の問題や、急速な過疎や高齢化などをどうしていくのかということも含めて新たな取り組みを始めようと考えています。
藤田さんのお話の中で定款に前文というものをつくられたということでしたが本年度中に私どもの意志を謳った定款をもつ、株式会社をつくろうと考えております。人口1600名しかいない小さな島ですが、自分たちで自分たちの地域の課題を解決していけるような企業をつくろうという、新たな取り組みです。はっきりした形となった折には皆さんにご紹介させていただきたいと考えておりますが、小さな島でも自分たちの力で自立する、ということを目標にしております。
藤田さん、納戸さん、それぞれの地域で取り組まれていて、具体的な事例ですが、その具体例を積み重ねていくと次第に、違いも含め、類似性など蓄積されていきます。この蓄積されたものを普遍化していく、誰でも応用できるような考え方、理念、理論を見つけ出せないかということを学生に話し、学生がこれまで考えられなかったことを考えるきっかけにしたいと考えています。
学生が卒業すると、彼らの考えで社会が動きます。今の若い人たちがしっかりした考え方、理念に基づいて行動し、自分で考えられる学生を育てていくことが大事だろうと考えています。そこで「ソーシャルビジネス研究会」を立ち上げて毎月1回、同研究会において実践者に具体的な事例を話してもらっています。
■コーディネーター 小野寺明夫氏(沖地ネット副会長)
(講演会の中で)有吉佐和子さんの「複合汚染」のお話がありましたが、1961年、アメリカで「沈黙の春」というのがかかれました。それから13年前にかかれた。僕自身、2年前くらいに2冊の本に出会いまして、健康って何だろうと考えたその後、あるお医者さんに健康NPOをつくりました。その団体で断食道場をやっています。 メディカルファスティングといってお医者さんの指導のもとに断食するのですが、実は断食の前後が大事で、日常で毒を体に入れていかないように努力しないとせっかく断食しても全然うまくいかないのです。
これはまた別の箇所でしたが、お話の中で大量生産、大量消費、大量流通の中では本当にいいものが沖縄で買えるか、というと本当に難しいのです。これは無農薬ですとか有機農法ですとかいっても例えば、隣の畑で農薬を使っていれば、土を通して農薬が入ってくる。これは今日の主題から離れるかもしれませんが、丁度、沖縄の第一次産業と、ここ伊是名ですが、各離島が直面している問題と、それに対する解決策があるか。多分この辺がメインのテーマになってくると思います。
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2.離島が直面している課題について
(小野寺)藤田さんから第一次産業のお話がありました。また、ここ伊是名など各離島が直面している問題とそれに対する解決策について、お話いただきたい。
(大城)島では今、高齢化が進んでいます。高齢化の問題と、島から離れた子供たちが戻ってくるかという過疎化の問題。離島ではほとんど中学を卒業すると同時に、極端にいうと全員島を出ます。その子どもたちがどのくらい島に戻ってくるのか。このような島で地域を活性化するとなると、これは高いハードルだと思う。
そのときに、島に残っている高齢者の方々が農業に従事している。藤田さんのお話の無農薬、有機農業というのはまさに新しい21世紀の農業なのだと。すると農業もこれまでのやり方ではなく、新しい技術・技能が必要になってくる。しかしこういった離島地域の昔ながらの古い農業をされた方たちにとって、新しいやり方に変えるというのは非常に厳しい。こういった方たちにどういう風に21世紀型の新しいやり方、非常に高度なノウハウを必要とする新しい農業を移植していくのかということが課題だろうと思います。難しいのではないかと思いますが、何かひとつでも見出せるものがあればいいと考えています。
(藤田)島でどうやって生きていくかということだと思います。たとえば、全ての人が基本的人権を守られて生きていくようにするというのは、国や行政がすることでしょう。それは100人には100人に差別がないように様々な保障など制度をつくることが非常に大事なものです。でも、今日ここで話している、それぞれの島でのしまおこし、あるいは社会的企業、地域の活性化というときに、これを行政と同じやり方で全ての人にわかってもらおうことはできないのです。
力のある、グローバリズムにのって勝つというのは相当な力が必要ですから、それは全ての人たちにはできません。ですから、大地を守る会が生き延びてきたのは、全ての人に有機農業を食べてもらおうと思ったわけではないということがあります。誤解があっては申し訳ないですが、職員によく言うのは、私たちがしている仕事というのは、周りに100人の人がいるとすると、理念・理想を話してわかってもらうのはそのうち2人か3人です。これを4人、5人と、運動として広めたい気持ちはありますが、そうすると我々のポリシーやそういうものを限りなく無に変えていかなくてはならない。
広げれば広げるほどグローバルの世界、競争の世界に入っていくので、私たちのやろうと思っていることができなくなる。でも100人いる中で2人、3人というならば、私たちの力でなんとかできる。そこにビジネスのポイントがあると思ってやってきました。
つまり、考え方はグローバルに行動はローカルに。なおかつ、ローカルはローカルにつながらないといけない。ローカルにいながらグローバルにつながろうとするのでみんな松下さんやソニーの社長を目指すことになってしまう。世界にはもっと強い人がたくさんいる。勝ち抜ける人もいるかもしれないが負けることが多いのです。ここでローカルはローカルにつながるという風にすると、100人のうち2、3人を説得したらいいんだ、という気持ちでやっていけるのです。
それくらいの力が自分にはあると信じることです。
そうすれば、先ほど話した小さな豆腐屋やパン屋とかの人たちは十分ビジネスになるはずです。そういった自分のつながることの出来る人たちを逃さない。そこに向かって伊是名のファンをつくる、沖縄のファンをつくる。モノの力を大きくできないなら関係性で。「あの人のつくるものなら」「あの人のやっていることは信頼できる」というような関係性の中でものを動かすということだと思うのです。
(納戸)お話を伺って、あまりにもその通りすぎて、応えにくいのですが僕は実際にこの島に住んでいて農漁業の現場を見ています。その中でグローバルマーケティングというのは、消費を拡大して需要を喚起していくことを前提に、供給も同時に拡大していかなくてはならないという原則を背負っているわけですが、そうするとこういう島では自ずと限界があるんです。つくろうとしたところで耕地面積でどのくらいのものが作れるか。今、すごくいいたまねぎ作っています。でもこの島全部がたまねぎの畑ばっかりになるのか?そんな島はおかしいのです。
よくいうのですが、離島は新しい離島型のマーケティングを組み立てないと絶対にやっていかれない。今、中央でやっているようなマーケティングにのっては、離島は終わってしまうという話をしています。まだ、話合いの中ですが自分たちのオリジナル、伊是名のマーケティング、というのを組み立てないと生き残れないのです。
それともうひとつ。まず問題をきちんと定義しましょうといっています。生産も量の問題、自分たちの適性規模の問題。それから一番僕らが大事にしているのは地域の情感です。地域に住んでいる人たちが果たしてその生産に情感としてついてこれるのかどうか。気持ちの中で一緒にやってくれるのかどうかというのを、全体のベースにしていこうということです。それがなければいくら商品をつくっても拡大しても、地域の人が一緒に汗を流してくれなければ、それに喜びを感じてくれなければ意味がないなというところで、地域の情感に根ざしたところから、商品の開発や新しい自分たちのマーケティングの方法を考えていく。今、そのプラットフォームをやっとつくろうというスタート地点ですが、島が生きる方法はこれしかないと思っています。
答えは地域の中にしかないと思っています。この地域の人たちが生きるところ、地域の足元から答えを導きだしたいと思っています。
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3.各地の地域おこし事例
(小野寺)各地に地域おこしの成功事例があります。それをそのまま移植してがんばろうという気運がありますが、そのあたりについて藤田さんからお話をお願いします。
(藤田)僕は、数年前から先端で走っている地域っていうのはもう何か乗り越えていると思っています。これまでは、経済も社会の作り方も地域の作り方も依然として右肩上がりを前提とした作り方をしてきました。
例えば、教育システムも画一的な、農民もパン屋さんもみんな東大に入るような教育をされていた。その上でわずかな人が東大に入っていくという教育システムがそういう風になっています。しかしここ数年、元気のある地域で何が起こっているかというと、右肩上がりでないことを前提とする地域おこしをして変わっていった地域が成功しています。
人がこないとか、老人しかいなくなったとかで人をよぼうとして、補助金もらったり大きな建物たてたりとがんばっているけれど、その流れにどうしても乗り切れず力をなくしたりしている。人口は少なくなるし就業も少なくなるし日本社会がそんな社会になっていて、しかも都会よりも地方の加速度が非常に早い。
そこで、人口が減っても就業が減っても幸福度を下げない、いきいきと生きていけるような地域おこしを、どうつくっていくかというアイディアにたどりついた地域はとても元気になっている。
要するに、俺たちは元気に生きていくからねっていっているところがすごくいきいき輝いている。そういう成功例をみていくと、うまくいっているところとそうでないところの差があります。今はみんな下がり始めている。下がり始めているときに幸せ度を下げない工夫が必要なのです。
新しい地域づくりがもう始まっている。国よりも先に地方のほうで始まっている。そういうものを事例としてみるとすると、納戸さんがさっきおっしゃったように「これやると儲かります」というような拡大志向でないものがそれぞれの地域であがってくるとすごくいいなと思います。
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4.「幸せ度・幸福度」が価値基準のひとつに
(小野寺)「幸せ度」というキーワードが上がってきました。大城先生、そのあたりからご感想をください。
(大城)人間としての心からつながっている部分は我々はどの程度もてるのかというのが幸せ度になると思います。物的、量的なものではないような要素があると思います。
先ほど人と人とのつながりを断ち切ることで生産が増えていくということでした。その市場メカニズムでは図ることの出来ないつながりをどう作り上げていくのかが非常に大事なのではないかと。
特にお年寄りの持っているノウハウをどうつなげていくか。今の子どもたちは、縄を結えない、鎌を使えない。昔のいわゆる手作業はできない。でも年寄りというのは、腰は曲がっても作業が非常に上手なのです。ですから母が孫に編み物をして誕生日におくるんです。それをやっている自分がやって楽しいと。つまり自分を動かしている心が楽しい。伊是名の島の人たち、自分がやっていることをどんなに楽しくそれがみんなの役に立っているんだっていうようなことを島の中で見つけることが出来れば非常にいいのではないだろうか。そういうことを考えると、地域おこしは地域の人間の中にある財産を掘り起こしていくということが大事なんじゃないかなという気がします。
(納戸)幸せ度の話で、伊是名村は800世帯しかありません。大体、平均月収は12,3万円くらい。でも皆さん豊かです。なぜかというと、みんなで支えあっているということがあります。
お金に換算できない経済でこの島は回っています。支えあいの中で、12,3万円でもみんな豊かです。ほんとはもうちょっとあった方がいいなって思いますが、それはなぜか。“教育“です。教育には都会と同じようにお金がかかるのです。僕がさっき話した新しいプラットフォームで実現しようと目指しているのがそこから出た収益で運営する学習塾をやりたいということです。低額で、負担にならない金額で子どもたちに学習の機会をつくる、次の人材への投資をしたい、そういう思いで新しい株式会社の設立を目指しています。勉強ができるだけで人生別に変わりませんけれども、島に生まれたことだけで、人生の選択肢が狭くなるのはおかしいと。少しでも自分たちで解決できる方法として、ビジネスを担保する会社を運営し、その利益を学習塾にあてられたらと思っています。
もうひとつ、幸せ度ということでお話させてもらいます。
沖縄の伝統料理に島豆腐がありますが、今大豆はほとんどが輸入ものです。島でとれないためです。でもほんのちょっとですけど、沖縄の在来種があります。それの実験栽培を小さな畑をかりてやっています。島で食べられる豆腐は沖縄でもともと伝統的にある大豆でつくりたいという思いがあってはじめました。
農家の方に一生懸命つくってください、といいます。僕ら若い者がしっかり売れる仕組みをつくってあげるからと。おばちゃんは「ぼちぼちでいいよ」と答えました。「儲けすぎると争いがおこる、ぼちぼちやりましょうよ、納戸さん」多分、これが先ほどいった地域の情感であり幸せ度っていうことじゃないかなと思っています。
(藤田)日本の社会にはGNPがどのくらい高くなるかってそういうものさしありますね。ブータンではもうGNPの競争はやめよう、そうでなくてこれから幸せ度だといっています。GNPはプロダクト、生産性ですが、ブータンの国王がいったのはGNH。Happinessだと。GNH世界一を目指すことが目標だと国王は言っているわけです。有機農業の国、キューバにおいては(GDPこそ低いのかもしれないが)医者の数はラテンアメリカではアメリカについで二位、161人に1人いるし、先生の数も120人に1人、これも第二位、それから識字率、字の読めない人は2%という。それはアメリカよりも高い水準である。それから何よりも人種差別がない、男女差別がない、治安がほとんど悪くない。各地にいくと僕ジョギングしますが、ハバナは朝何時から走っても全く怖くない。石鹸にも、はぶらしにも困っているようなそういう生活水準なのに、日本の人よりはるかにいきいきと暮らしている。これはまさにGDPじゃない、GDHは日本よりはるかに上じゃないかって僕は思うのです。そういう感覚が日本の地域に、格差はあるけど、それが差別でなくてそういう中で幸福度が固まっていくからみんな生きていけるのではないかと思います。
(大城)社会にはいろんな側面があると思うのですね。ですからその社会がどういった価値観、社会観で動いているのかというとき、例えば歴史をみるときに、時代の中のある時点でどのような価値観をもっていたのかということをしっかり確認したうえで、現在の価値観の比較をしてそれでなおかつ判断する。
例えば今のキューバの話ですが、キューバの人たちの価値観世界観いろいろな考え方がある一方で我々日本にはまたいろいろな価値観がある。そういったときにいわゆる幸せ度、彼らはどう幸せを考えているのかです。我々はその状況をどう考えるかということですね。ですから、地域おこしを考えるときに伊是名で不足しているものを考える。不足は何か?その不足に対して不満を覚えるのかどうか。不足しているものに対しての課題というのは解決しなくちゃならないほど地域社会にとって重大なものなのかと。もし重要なものではればそれをどう解決していくのかということが重要になってくるのではないでしょうか。ですからやはりそれぞれの地域の中で一番なにが大事なのかと。何が不足しているのかと。
日本の社会はものが余っています。あまっているから捨てる量がえらいことになっているそうです。量的に満たされている社会で幸せなのか、ということを日本人は「いや、ちがうんじゃない」と気づいてだんだんその感覚が浸透してきているようですが、量的な豊かさでない豊かさというものをどう見つけ出していくのかというのが、今我々の課題でないかなと思います。
社会のシステムが違う中での比較という場合、丁寧に考えていくことが非常に大事ではないかなと感じます。東京と沖縄、沖縄と伊是名と、それぞれの地域の中にそれぞれの生活のリズムがありますし、その中で考えられる幸せ観、生活観があるわけですから、そこにあうような仕組みというものの中で考えていくことが大事なのではないか。
こうなってくると、シマはひとつひとつ、シマの社会の仕組みがあり、沖縄には沖縄の地域主権、分権が必要になってくるのではと思います。やはりその地域で”自分たちはこうなんだ”という自分たちの地域づくりのビジョンというものを大事にしていくということ。それぞれの地域の地域づくりということですね。
(藤田)僕は幸せ度っていうことがもっとも大事なんじゃないかと思います。かつての日本が何で苦しんでいたかと言うと、栄養分がたりなくて、肥料が足りなくて困っていた。でも今の日本の農業どうなっているかっていうと、肥料をやりすぎている。これは社会もおんなじです。かつてものが足りないときは、みんなで助け合ってやっていって生きていって、そこに助け合いの気持ちとか感謝の気持ちがあって、ものはないけれどこころは豊かだった。なのにものがあまってきた瞬間に社会が病んできました。そのことに思い当たったら、“足るを知る”というところに地域社会をつくっていく、離島で足りないのもあるんです、けれどあまっているものも確かにあるんですね。余るものによって病んでいる。人間の関係が寸断されている、そういうところに目を当てて、それでちゃんとやっていくと、地域社会は変わると思う。
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5.社会的企業を始めるひとたちへ
(藤田)最初から楽しようと思ったらだめです。政府の補助金とか、地域社会の補助金なんかでぬくぬくと育ったものは成功しないです。
大地を守る会も組織をつくるときには3つの段階がありました。
革命第一世代、革命第二世代、革命第三世代。革命第一世代は、道のないところに獣道を作る仕事です。前例がないのです。新しいものをつくっていく、しかしつくるためにはルールつくらないと。失敗すると批判されたり。でもそういった中でなんとか明日は少しでもよくなる、と信じて働いた。重労働です。低賃金24時間もうほとんど給料ないような安い賃金で働いて残業手当もなくて、でも明日の未来に向かって進む、私たちは絶対間違えていないっていう新しいものをつくりだす喜びを感じてそれで走り始めるわけです。
第二世代は何するかというと、まだ組織はできていない、お客さんからの苦情もありながらも農業技術の少しずつあがっていく、前よりもものが動き始める、新しいものが少しづつできてきている。でもまだ問題がある。そうして第3世代になっていったときに、労働条件も固まってきて、それなりの生産技術も高まってきて、モノが動いて消費者の信頼も高まってきた。
(ここまでくると)よくなってきたかのように見えるかもしれないが、今入ってくる若者たちは、第一世代の新しいものを作り出す、荒々しい創造する喜び、自己実現に欠けるのです。こんな生ぬるいところで社会起業っていっているけど、喜びを感じないとか。
最初の頃に獣道つくるってとても大変です。でも、安定したところにくると、生ぬるくなってしまう。これが組織の宿命です。
いろいろなことをやりながらバイオリズムをつくりながらやっていくのですが、起業というのは獣道をつくるのだということから始めるんだと、まさにそこからはじめるんだということを、しまおこし・社会起業を始める人たちも肝に銘じていただきたいと思います。
<事務局O>
最後に厳しくも、実践者だからこその激励の言葉を頂きました。
このパネルディスカッションでは、自分たちのできるところからはじめ、地域の中の関係性や思いをつなぎあわせていく中で
自分たちなりの「幸せ度」をみつめ、再生していくことがポイントだと感じました。
=藤田和芳氏著書のご紹介=
今回、講師をしていただいた大地を守る会代表の藤田和芳氏の著書をご紹介します。
もっと藤田さんのことを知りたい、有機農業について知りたい、大地を守る会の取り組みが知りたい!
という方におすすめです。
| 『いのちと暮らしを守る株式会社』(共著:学陽書房) 『農業の出番だ!「THAT’S(ザッツ)国産」運動のすすめ』(ダイヤモンド社) 『ダイコン一本からの革命』(工作舎) |







